‛啓蒙’~保護犬を迎える心得~
- macaronberry代表☆髙島☆
- 7月29日
- 読了時間: 7分
更新日:7月30日
今回のブログは、保護団体や愛護センター、保健所等から保護犬を迎える事を検討されている方へ向けた内容になっています。
(※あくまで髙島の経験をもとに感じた事や学んだ事を書いています。)
ここでの保護犬とは、成犬を対象にしています。
【保護犬を選択する前に念頭に置くべき事】
・自身の犬の扱いについて『過大評価』してしまうと保護犬の扱いを間違える恐れがある
・人間との接触が無く、野生下で育った保護犬は人間との生活に慣れにくい
・人間から虐待やネグレクト等を受け心を閉ざしている保護犬がいる
・恐怖心から攻撃性を見せる事は珍しくない
上記は全ての保護犬に該当するわけではありませんが、こういったケースは少なくないという事を予め理解しておく方が良いでしょう。
保護犬を迎える事と店頭やブリーダーから犬を購入する事は全く異なりますので、心から保護犬と向き合う覚悟が必要です。
保護犬に限らず全ての生き物に対する当然の心得
『返さない』『諦めない』『命を守る』『健康を脅かさない』『豊かな犬生』『終生飼養』
【保護犬をお迎えしたご家庭で起こしやすいハプニング】
過去含め不明点が多い保護犬は、それまでの生活環境や人との接触、狂暴性の有無など断定できる情報が少ないです。
『家族が噛まれた』←信頼関係不足・保護犬との距離間
『お散歩中手からリードが離れ逸走してしまった』←信頼関係不足・リードの持ち方/長さ
『外へ連れ出したらパニックを起こし暴れた』←信頼関係不足・環境への不慣れ・経験不足
『玄関ドアを開けたら脱走してしまった』←思い込み・注意力不足・信頼関係不足・環境への不慣れ
『他所の人やわんちゃんを噛んでしまった』←信頼関係不足・躾不足・(人間側の)犬力不足
・・・
これらは全て未然に防げることですが、普通に犬を飼うという感覚で保護犬を迎えるとこれらのような事態を起こしかねません。
お迎えする際に、施設側や担当者から伝えられる事をよく聞いて、注意点や守るべき点をご家族で共有し、里親様は初心を忘れず1つ1つのお世話を丁寧に慎重に行っていくことで不幸なハプニングを防ぐことが出来ます。
【保護犬を知る】
お迎えしてしばらくは、初めての環境と見慣れない人間にも緊張しているはずなので、過度な接触やアプローチは避けた方が無難です。
保護犬が安心できるスペース(広さと高さのある囲いを設置)を確保し、お水とご飯を置いてそっとしておきます。慣れるまではスペース内でお世話をします。
施設では穏やかそうに過ごしていたとしても、環境ががらっと変わった場所に来ればまたゼロスタートです。急に距離を縮めようとすると威嚇から攻撃の可能性もあるので接近するのは控えましょう。
スペース内には、頑丈なクレートや入り口以外をタオルで覆ったケージを設置して下さい。ストレスから破壊行動をされると誤食する心配もある為、敷物等の布類や小物類の設置は注意して下さい。
保護犬に近付く際は大きな動作は避け、出来るだけ同じ目線で声かけは優しく、名前を呼びながら話しかけてあげると少しずつご家族の存在が分かるようになると思います。
毎日保護犬の様子を観察しながら日々距離を縮めて、ニオイを嗅がせたり、何をするでもなくそばで一緒に過ごす時間というのも大切です。
排泄はこれまで外でしてきたのかどこか屋内でも出来ていたのか不明なので、お家の中を自由に歩かせたりいきなり外へ出す事は決してせず、スペースの中にトイレを作ってあげましょう。
外から雑草や土などをもってきてトレーにセットしてみるなど様々工夫してみて下さい。
慣れてきたら徐々にお散歩用具を身に着け、室内で歩く練習をするのもオススメです。
(余談ですが参考までに、我が家のSmile君をお迎えして2~3週間は外へ出しませんでした。彼は人とのスキンシップに不慣れで、首輪・ハーネス等を噛みきる程拒絶しており、外は脱糞するほど怖がりました。排泄は皆がいない所でひっそりと室内の床でしていました。)
その子が怖がるもの、出来ないこと、許容することを一つ一つ見つけていきます。お世話していく上で出来るようにならなければ困ることはご家族で協力しながら慣れさせるよう取り組んで下さい。
【“可愛がる≠甘やかす”】
『嫌がることは無理に行わない』この行動の積み重ねによって嫌がる事が増え、お家で出来なくなる事が多くなります。
(肢体を触る、爪切り、肛門腺、シャンプー、口腔内目視等、これらをお家で容易に出来ないと、愛犬の異状や病気の早期発見が遅れる原因となります)
何かをしようとした時に嫌がった時はまずその理由を探り、別のアプローチを考えます。
見た目にはわからない痛みを起こしている場合もあるので、獣医師や専門家にもご相談されるのも良いです。
【躾は皆統一に】
『母の指示は聞くが、父の指示には従わない』
愛犬が家族によって異なる反応をすることは良くありません。
保護犬に限らず全ての飼い犬に共通しますが、ご家庭内でこういった差が生まれるとご自宅からの逸走やお散歩中の脱走、他人/他の動物とのトラブルや事故を起こす可能性が高くなります。
日頃から意識して接するようにしましょう。
【保護犬攻略法:“信頼関係(R)” “コミュニケーション(C)” “スキンシップ(S)” を極めよ】
保護犬をお迎えしたら、第一に『信頼関係』を築く為の土台作りから始めます。
心を開いてくれなければ何も始まらないので、1日1日段階を踏んでいき『コミュニケーション』『スキンシップ』をこれでもかというくらいに毎日心がけましょう。
基本的にコミュニケーション不足の犬は、人の目を見ない、言葉に耳を傾けない、触られ慣れていない体の場所を触られると拒絶する又は唸るなどの反応が見られます。これらの様子が見られる保護犬は慣れるまで時間を要します。
【絶対に油断してはいけないお散歩】
慣れない保護犬とのお散歩は緊張の連続です。
装着は、首輪とハーネスのダブルリードとし、リュックや肩から斜め掛けするようなバッグを身に着け、リードだけを持つようにしてください。ハーネスは指一本入るくらいのきつさまで締めて下さい。抜けたら絶望が待っています。
リードは少したるむくらいの長さにして、輪っかの部分を手首にはめて持ちます。長すぎても短すぎても良くありません。リードを持つ人が不安がると犬に伝わります。リードコントロールが出来ないうちは犬の斜め後ろやすぐ後ろを歩くようにして、すぐに動きを止められるような距離感でいて下さい。犬の好きなように歩かせると人の指示を聞かなくなります。
お外へ出たら怖いものばかりだと思ってお散歩へ臨んで下さい。
(怖いもの:道路、人、自動車、自転車、知らないニオイ…)
(苦手なこと:リードで指示されること、人と並走すること、追われること…)
責任者はリードを持っている人です。
ご家族全員で統一した躾とRCSを攻略していれば、誰がお散歩へ連れ出してもリードコントロールはもちろんのこと、保護犬の目線や動きから危険は事前に回避出来ます。
保護犬をお迎えするのはとても喜ばしい事ですが、そのあとの悲しい出来事が少なからず起きていることも現状にあります。
それを食い止めたい思いで書きました。
そして疲れたのでここまでにしておきます。
このブログを公開するまで1カ月ほどかかりました。語彙力と文章力が乏しく、頭ではわかっていても順序だてて書くのも苦手なので毎回時間がかかります。
おそらく、いえ絶対にお伝えしきれていないと思いますが、保護犬を迎える事への心構えが少しでも伝わっていれば幸いです。
連日の激暑の中、行方不明になっているすべての保護犬がどうか無事であることを願い、どなたか親切な方に保護されている事を祈るばかりです。
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