(シッティングは髙島がすべて行っています。)
飼い主様のご自宅へ伺い打ち合わせを行った後わんちゃん・猫ちゃんのお世話を行わせて頂きます。
わんちゃんのお散歩は、ご自宅周辺を30~45分程度歩くため、すれ違うわんちゃんや他のお家のわんちゃんを見かけることもしばしばあります。
そんな中、どこからか、単調に、誰かに訴えるように泣く声が聞こえてくるとつい足を止めてしまいます。
浮かんでくるのは、横たわり思うように体を動かせないわんちゃんと疲弊しているであろう飼い主さんの姿です。
これは一般的に認知症を起こしているわんちゃんの泣き声であり、同時にこの状態は一番飼い主様が困ってしまう時期でもあります。
痴呆とは、いったん正常に発達した知能が後天的な脳の器質的変化(形態的な変化)によって低下する状態のことを言います。
獣医学における犬及び猫の認知症の正式名称は、認知機能不全症候群(簡略:認知症)です。
以下の症状をご参考ください。
・単調な声で意味もなく泣き続ける(日中・夜)
・歩行は前進のみ可能で、トボトボ、ヨタヨタと歩き円を描くように歩くこともある
・狭い所へ入り込み、後退できなくなる
・飼い主の呼び声にも無反応、または何事にも無反応
・若い時に覚えたしつけなどが出来なくなる
・よく食べてよく寝て、下痢もしないのに痩せていく・骨が目立ってくる
通常、若い時であれば吠え方や泣き方ひとつで飼い主様なら何を求めているのかすぐに分かったと思いますが、加齢に伴い表情や若いころのような活発で明瞭な要求は減っていきます。
痴呆が少しずつ入ってくると、ぼーっとする時間が長くなったり、狭い所へ入り出られなくなってしまったりと、これまでには無かった様子が見られるようになります。
お散歩では歩き方に元気がなくなる、次第に歩く距離が短くなりお散歩すら行かなくなってしまう。そうするとさらに眠る(横になっている)時間が増えていきます。
昼間にたくさん寝て、夜は眠れない時間が多くなっていき、同時に夜泣きが始まります。
エスカレートしてしまうと夜はほとんど寝られず吠え通し、そして朝方~昼間によく眠るようになっていきます。
これが昼夜逆転の状態です。
(夜泣きをすることが必ずしも認知症であるとは言えず、本来泣くという行為は自己主張を表すため、加齢に伴い起こしやすい歯周病による歯肉の痛みや、脱水を起こしやすくなる為便秘になりやすくお腹にガスが溜まり腹痛によって泣いている場合もあるので要観察が重要です。)
早期に異変に気付き動物病院へ相談されれば、ある程度の治療は可能で進行を遅らせることが期待できます。
【認知症対策で大切なこと】
・異常な行動に早く気付く
・認知症かどうか診察を受ける
・病状の程度を評価した上で対処する
当店はまだペットホテルを初めて4年目ですので症例は少ないですが、毎年1~2頭の寝たきりまたは要介護のわんちゃんのご相談があります。種類は柴犬または和犬の雑種です。
認知症は室内で飼うよりも外で飼う方が発症のリスクを高めます。
これは、屋外で飼う方が人間とのコミュニケーションの機会が少なくなり、脳への刺激も少なくなるためと考えられています。
まさに柴犬や和犬の雑種はいまだ外飼いをされている飼い主さんが多く、見かけるたびに辛くなります。もっと自分に力があればと無力さを痛感します。
【眠りが浅い場合】
痩せている老齢犬は脂肪が少ないため気温や室温の変化に影響を受けやすくなります。
体が冷えてくると眠りに入りにくくなったり眠りが浅くなるなどの傾向があります。
寝床を温めたら夜泣きが減少した事例もあります。
※温熱器具を使用される場合は低温やけどや出火に十分注意してください。
【さみしい場合】
夜泣きの理由として単に寂しくて泣いている場合もあり、寝床を飼い主様やご家族のいる場所へ移動させたら泣き声が小さくなったという子もいます。
わんちゃんも年を取ると人恋しくなるので、出来たら飼い主様の気配を感じられる空間に一緒に過ごせたら良いですね。
●夜泣きの原因とメカニズム
まだ全てが判明されたわけではないですが、認知症初期に魚介類に含まれる不飽和脂肪酸(EPAやDHA)を摂取すると夜泣きの改善があることが分かっています。
夜泣きは、前述に柴犬や和犬の雑種に発生率が高いといいましたが、これは昔と現代の食性の変化が原因ではないかと言われています。
日本人は古来、動物性たんぱく質を海や河川の魚介類から接種していました。
これは飼われている犬にもいえることでした。
ところが、ドッグフードの普及から常食となっていき、これに含まれる動物性たんぱく質の原料は牛や鶏であることから不飽和脂肪酸の摂取量が欠乏したためではないかと考えられています。
(近年はドッグフードの主原料や質にこだわったメーカーも増加している為、愛犬の体質や健康状態に合ったものをより選びやすくなりました)
本日はここまでにします。(久しぶりのタイピングで指が疲れてしまいました)
ご自宅の周辺などでわんちゃんのお世話に苦労されている飼い主様がいらっしゃったらどうかこの投稿を思い出してください。
わんちゃんのお世話に苦労されている飼い主さんに話しかける場合・・・
「動物病院に一度相談してみては」
認知症のわんちゃんをお世話されている飼い主様は精神的にも参ってしまうことがある為、この一言ではなかなか足を運べないケースもあります。
「わんちゃんも認知症があって治療できるものもあるから、一度動物病院の先生に電話で症状を説明してみたら」
顔見知り程度のご近所付き合いをされている方であればお伝えしやすいかなと思います。
話しかけるのは勇気がいる、そんなときはお手紙をポストイン。
「近所の者です。お宅のわんちゃんの泣いている声が聞こえて、以前自分の飼っていた犬を思い出しました。(←真実よりも相手に寄り添う気持ちが大切!)老犬のお世話も行うペットホテル(当店の名前を出して頂いてOKです)もありますし、寝たきりや認知症になったわんちゃんも動物病院で診てもらえる(犬を飼われている飼い主さんやご近所さんから動物病院の情報収集をされるのが良いと思います)ので一度受診されてみてはいかがでしょうか。」
最後に、「余計なことかもしれませんが、〇〇様のわんちゃんが少しでも穏やかに過ごせますように、そして〇〇様もどうぞご自愛ください。」
など書き添えて頂いたらありがたいです。
これって認知症?判断がつかない場合
「近所の者ですが(仮にご近所ではなかったとしてもこうお伝えした方が聞き入れてもらいやすいと思います)、お宅のわんちゃんの泣き声が気にかかりお手紙を書かせて頂きました。認知症や痴呆の入っているわんちゃんの泣き方に似ているなぁと思ったのですが、もしそうでしたら~(以下、上記の内容と同文)」
上の文章などはあくまでご参考までに留めて頂きたいのですが、老齢犬のお世話は心身ともに疲弊してしまうことをすべての飼い主様に知っていただきたく、また周囲の飼い主様へもこのことをお伝えいただけたらと思います。
愛犬の寝たきりや認知症に悩む飼い主様のご負担を少しでも減らしたい、そして最期まで一緒に見守りたい、そんな気持ちで書かせて頂きました。
私一人では情報を周知させることが困難なため、これを読んでくださった皆様にもご協力いただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
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